「YOKOO ドライブレコーダー YO-660」の画質を「トヨタ純正ドライブレコーダーDRD-H66」、「パイオニア ドライブレコーダー ND-DVR1」と比較しました。
市場に投入された時期が早い順に「ND-DVR1」>「DRD-H66」>「YO-660」となります。
ドライブレコーダーのエンコード設定
まずは3機種の録画データのエンコード設定を掲載します。
DRD-H66 | ND-DVR1 | YO-660 | |
映像(H.264)プロファイル | Main@L4.2 | High@L4.1 | High@L5.1 |
映像ビットレート | 9,722 kbit/s | 11,884 kbit/s | 11,873 kbit/s |
解像度 | 1920×1080 | 1920×1080 | 1920×1080 |
フレームレート | 27.0 fps | 30.0 fps | 30.0 fps |
ビット/ピクセル | 0.174 | 0.191 | 0.191 |
音声コーデック | AAC(mp4a-40-2) | PCM | AAC(mp4a-40-2) |
音声ビットレート | 128 kbit/s CBR | 512 kbit/s CBR | 96 kbit/s VBR |
音声サンプリングレート | 48.0 Hz | 32.0 Hz | 32.0 Hz |
ファイル拡張子 | .mp4 | .mov | .mp4 |
「DRD-H66」が他の2機種に比べてビットレートが低めですが録画された映像を見ると3機種の中で一番精細感がありました。「H.264」の「Main Profile」を選択している効果かもしれません。(変換速度を優先させた場合など「High Profile」よりも高画質になると言われています)
レベル設定は「YO-660」のみ2160p、1440pに対応させるために「5.1」を選択しています。
記録された音声は設置位置の良い「YO-660」が録音レベルも適切で一番聞き取りやすく感じました。
1分間の映像に必要な記憶容量を計算する
映像ビットレートと音声ビットレートがわかれば記録メディアの容量による録画可能時間のおおよその見当がつきます。
YO-660の場合
映像ビットレート:11,873 kbit/s + 音声ビットレート:96 kbit/s = 11,969 kbit/s
一分間に必要な容量:11,969 kbit × 60(秒)= 718,140 kbit = 89.7675 MB
1分間の映像に必要なメモリ容量は約90MBになります。
16.0GB(16,000MB) ÷ 90MB ≒ 記録可能な時間は約177分
32.0GB(32,000MB) ÷ 90MB ≒ 記録可能な時間は約355分
しかし実際には走行データなどが含まれるのでもう少し短い時間しか記録できません。
ドライブレコーダーの画質について
なぜビットレートの話をしたのかと言うと、ドライブレコーダーの画質に過剰な期待をしないためです。もちろん高画質に越したことはありませんが、ビットレートの制限がある以上限界はあります。個人的にはナンバーが読み取れれば良しとしています。
※夜間の鮮明さ(明るさ)はCMOSセンサーの感度によるところが大きいのでビットレートの話とは別です。
参考までに私の持っているスマホとデジタル一眼レフの工場出荷時(たぶん)のエンコード設定を掲載します。
スマートフォン | デジタル一眼レフ | |
映像(H.264)プロファイル | High@L4 | Baseline@L5 |
映像ビットレート | 17,489 kbit/s | 44,846 kbit/s |
解像度 | 1920×1080 | 1920×1080 |
フレームレート | 30.0 fps | 29.97 fps |
ビット/ピクセル | 0.281 | 0.722 |
音声コーデック | AAC(mp4a-40-2) | PCM |
音声ビットレート | 156 kbit/s CBR | 1,536 kbit/s CBR |
音声サンプリングレート | 48.0 Hz | 48.0 Hz |
ファイル拡張子 | .mp4 | .mov |
どちらもドライブレコーダーを大きく上回るビットレートの設定です。スマートフォンの動画でも画質が悪いと感じますが、それよりも映像ビットレートの低いドライブレコーダーが画質的にスマーフォンに勝るのは至難の業です。もちろんレンズの解像力が比べ物にならないデジタル一眼レフやビデオカメラとは比べるまでもありません。
ちなみにYoutubeのHDR動画の推奨映像ビットレートは1080p(1920×1080)の場合、10Mbps、推奨音声ビットレートはモノラルで128kbps なのでドライブレコーダーのエンコード設定とよく似ています。
ただ同じような映像ビットレートだとしてもビデオカメラで撮った高画質映像をパソコンで推奨映像ビットレートにエンコードしたものと、解像力の低い小さなレンズでリアルタイムエンコードしたドライブレコーダーの映像とを比べるのはちょっと酷なので比較はしません。
録画データ比較
それでは録画されたドライブレコーダーのデータを比較していきたいと思います。※同じ場面を撮影しているわけではないので参考程度に考えてください。
ナンバープレートの読み取り(昼間)
まずはナンバープレートの読み取りを比べます。
フロント昼間:DRD-H66 1920×1080 27fps HDR
走行中「DRD-H66 1920×1080 27fps HDR」
2車線道路の右側を走行していた車がきわどいタイミングで割り込んできて、急ブレーキを踏んだ場面です。(接触はしていません)トップの写真はこれを切り抜いたものです。
停車中「DRD-H66 1920×1080 27fps HDR」
前の車との車間距離は少し余裕を持たせています。ナンバーの4桁は問題なく読み取れますが、ひらがなはかろうじて読めるレベルです。車種の判断はできるのでこの程度の距離であれば相手の特定に支障はありません。
リヤ昼間:ND-DVR1 1920×1080 30fps WDR
停車中「ND-DVR1 1920×1080 30fps WDR」
画角が広いために離れて見えますが一般的な車間距離でした。4桁のナンバーは読み取れますがひらがなは微妙な感じです。昼間ははっきり映っているので車種の特定に支障はありません。
フロント昼間:YO-660 1920×1080 30fps HDR
停車中「YO-660 1920×1080 30fps HDR」
前の車との車間距離は少し余裕を持たせています。ナンバーの4桁は問題なく読み取れますが、ひらがなはかろうじて読めるレベルです。車体色が黒なので若干色潰れが見られますが車種の特定に問題はありません。
リヤ昼間:YO-660 1920×1080 30fps HDR
停車中「YO-660 1920×1080 30fps HDR」
相手の車は停止前で車間距離は十分に余裕があります。これだけ離れていてもナンバーの4桁はもちろん、ひらがなもはっきりと読み取れます。リヤカメラの「SONY IMX323」が頑張っているのだと思います。
ナンバープレートの読み取り(夜間)
フロント夜間:DRD-H66 1920×1080 27fps HDR
停車中「DRD-H66 1920×1080 27fps HDR」
昼間ほどではありませんが、読み取り可能です。さすがに対向車のナンバーは読み取れません。距離によってはナンバーが白飛びしてしまうこともあります。
リヤ夜間:ND-DVR1 1920×1080 30fps WDR
走行中「ND-DVR1 1920×1080 30fps WDR」
スモークフィルム越しなので夜間は車種の判別もままなりません。ちなみに映っている車は「トヨタ 86」です。
停車中「ND-DVR1 1920×1080 30fps WDR」
ヘッドランプが点灯しているとWDRが有効でもナンバーは読み取れません。スモークフィルムが無ければ状況は変わるかもしれませんが、いかんせん古い機種なのであまり期待できないと思います。
フロント夜間:YO-660 1920×1080 30fps HDR
走行中「YO-660 1920×1080 30fps HDR」
貰ったファイルにナンバープレートが映っているフロントカメラの映像がありませんでした。全体的に明るく映っているので接近すればナンバーの読み取りに支障はないと思います。
リヤ夜間:YO-660 1920×1080 30fps HDR
停車中「YO-660 1920×1080 30fps HDR」
通常の車間距離で停車していればヘッドランプが点灯していても問題なくナンバーを読み取ることができます。
走行中「YO-660 1920×1080 30fps HDR」
驚いたのはこの位置関係でも十分ナンバーを読み取ることができます。HDRの効果よりもリヤカメラの「SONY IMX323」が優秀な気がしてなりません。
精細感の比較
精細感の違いを比べます。
フロント昼間:DRD-H66 1920×1080 27fps HDR
停車中「DRD-H66 1920×1080 27fps HDR」
「DRD-H66」は細かな部分まで潰れずに表現されています。これは「Main Profile」の設定を煮詰めた結果なのか、ハードウェア(センサー、レンズ)が良いのか、私には判断できません。
リヤ昼間:ND-DVR1 1920×1080 30fps WDR
走行中「ND-DVR1 1920×1080 30fps WDR」
細かな部分は水彩画のような潰れ方をしています。ベタ塗ではなく淡いグラデーションなので録画データを見ていても違和感はありません。
フロント昼間:YO-660 1920×1080 30fps HDR
停車中「YO-660 1920×1080 30fps HDR」
動画は色鮮やかできれいなのですが細かく見ると潰れた部分が多い印象です。道路の濃淡など離れた位置はベタ塗で表現されています。近くに来て道路の濃淡が急に現れるので気にして見ると不自然に感じます。
リヤ昼間:YO-660 1920×1080 30fps HDR
走行中「YO-660 1920×1080 30fps HDR」
フロントよりも多少マシかもしれませんがやはり細かな濃淡は表現せずに省略されています。チップセット「Novatec96663」のエンコード設定が大きく関わっているのかもしれません。
木の葉の映像を比較
機種によって違いが顕著なのは木の葉の表現でした。
フロント昼間:DRD-H66 1920×1080 27fps HDR
走行中「DRD-H66 1920×1080 27fps HDR」
若干ノイジーですが、葉の一枚一枚をうまく表現できていると思います。
リヤ昼間:ND-DVR1 1920×1080 30fps WDR
走行中「ND-DVR1 1920×1080 30fps WDR」
再生した動画に不自然さはありませんが、細かな部分はぼかして誤魔化しています。静止画にすると精細感がありません。スモークフィルムの悪影響というよりもハードウェア(レンズ、CMOSセンサー、チップセットなど)の世代が古いのだと思います。
フロント昼間:YO-660 1920×1080 30fps HDR
走行中「YO-660 1920×1080 30fps HDR」
HDRを有効にしているためかもしれませんが、暗い部分が潰れてしまいます。
リヤ昼間:YO-660 1920×1080 30fps HDR
停車中「YO-660 1920×1080 30fps HDR」
リヤカメラの映像も濃淡の色分けが大雑把で不自然です。
映像比較後の個人的見解
どの機種もドライブレコーダー本来の役割はまっとうできると思います。
トヨタ純正ドライブレコーダーDRD-H66
動画の色使いはコントラストが低めで地味ですが、細かな部分もできる限り表現しようとしている真面目な絵作りだと感じました。
夜間の映像は明るさは確保できていますが粒状感が強くセンサーの限界を感じます。
パイオニア ドライブレコーダー ND-DVR1
既に発売され何年も経っているので時代遅れ感は否めません。しかしセパレートタイプ、映像出力、鏡像表示と今でも魅力的な構成です。鏡像表示中でも記録される映像が正像なのは気が利いていると思います。
YOKOO ドライブレコーダー YO-660
リヤカメラを接続しない場合、フロントカメラは「2160p(3840×2160)、24fps」、「1440p( 2560×1440)、30fps」に対応しています。(2160p、1440pで記録された映像は見ていません)
録画された映像はメリハリの利いた派手な色使いです。細かな濃淡は潰れ気味ですが高コントラストなのでナンバーの読み取りには好影響だと思います。
夜間の映像は「DRD-H66」よりも明るく鮮明でした。
YOKOO ドライブレコーダー(YO-660)は入門用として優秀
今回、記録された映像を比較して「YOKOO ドライブレコーダー YO-660」のコスパの良さを実感しました。ドライブレコーダー本来の事故の状況を記録するのに何の不満もありません。特に夜間のリヤカメラの映像は羨ましい限りです。
付属品にGPSアンテナも含まれているので時刻合わせなど、細かい設定を気にせずにmicroSDカードを購入するだけですぐに使い始めることができます。走行データや位置情報も記録されるので後で見返すときに楽しいと思います。
取り付けも簡単なので初めてドライブレコーダーを購入する方にもおすすめの製品です。
例の16GBのmicroSDカード
そして例の16GBのmicroSDカードですが↓
連絡をしてから5日程度で無事に到着しました。
Amazon.co.jpからの発送ではなく、中国からの国際郵便です。
届いたのは聞いたことがない「OV」というメーカーの製品でした。日本国内では販売していない商品だと思います。Class10 UHS-1対応 転送速度は80MB/Sと記載されています。デザインも良く、パッケージも綺麗で造りはしっかりしていそうです。
ちなみに16.0GBだと記録可能な時間は前後それぞれ約80分。とりあえず予備用にストックしておくように言っておきました。
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